ACTION 21 新たな脅威
ホープたちは次の街、マウントタルカスに到着した。
その一方、コニーは自分をハメたカシムファミリーに
復讐する為、その長であるザジ・カシムの暗殺を
決行していた。
だが、コニーの知らぬ所でカシムファミリーは
フィリップ・クリムゾンにとって大事な顧客となっており、
その行為は反逆と見られてしまっていたのだ。
コニーがザジ・カシムの部屋に到着した時、
そこには彼女と同じ深紅の処刑人である
ピーター・エンフィールドが待ちうけていた。
ピーターはフィリップからコニーを始末する命を
受けた事を告げ、2丁拳銃を抜き放つ。
コニーはそのとき突然、体が動かなくなった。
ピーターの゛術"にハマったと焦るが、
とっさの機転で自ら舌をかんでその術から逃れ、
負傷するもその場を離脱する。
「死の魔術師ピーター・エンフィールド。
一瞬で百人以上の人間の命を奪う事から
その名をつけられた男…。」
恐るべき刺客に、コニーはその夜行性の左目を
使って暗闇に紛れ逃げようとするが、ピーターの目は
そもそも『見えていなかった』。
その目が見えずとも投げナイフを避け、
追って来るピーターに追い詰められるコニー。
ピーターに撃たれ、川に落ちていった。
…死体までは確認出来なかったが息があったとしても
しばらくは何も出来ない程の痛手は与えた、
次の仕事に移るというピーターが向かうのは…。
ホープたちが滞在している街、マウントタルカス…。
ACTION 22 盲目の男
マウントタルカスに入ったピーターは、
ホープたちについて聞いていた。
そして、ビート・ガブリエルの名に
何か思う所があるような反応をしめす…。
そのビートは、マウントタルカス決闘チャンプの
コヨーテ・イルハーンと会っていた。
翌日決闘で戦う予定の二人だが、その会話で
お互いを認め、いいファイトをしよう、恨みっこ無しだ、
…と言い合って別れるのだが…。
そしてカイルは旅の資金を稼ぎに向かったカジノで、
大勝ちしている初老の男と出会う。
…その後ろには…ピーターがいた。
カイルもここに来てからはツキに恵まれ、
荒稼ぎしていたが、その男が全てのチップを
賭けてきた勝負には、妙な高揚感を感じながらも、
それを断って降りる。
結果は…初老の男の大勝ち。カイルの他の相手は
全てのチップを取り上げられた…。
そしてここでのビートの決闘にも異変が起きていた。
運営側の都合で急遽チャンピオンとの対戦が
組替えられ、ビートの出番は延期されるというのだ。
抗議しにきたコヨーテとビートの前に現れた
新たな決闘挑戦者…それはピーター。
コヨーテを相手にせず、なぜかビートの故郷を
知っていたピーターが告げる言葉は…。
「過去を……清算する為に……あなたを…葬ります……。」
ACTION 23 怪物
コヨーテとピーターの決闘が始まる。
コヨーテはピーターを感情の無い怪物(モンスター)と表した。
そしてビートに必ずお前と戦うと言って決闘に向かうが…。
突如、体が動かなくなるコヨーテ。
何も出来ず、ピーターに撃たれ敗れた…。
早撃ちに向かないオートマティックの銃を扱うにしては
速いが、チャンプが抜けないくらいではない…。
しかし、コヨーテは動けなかった…。
昨日の賭博の件といい、その異様さにこのままでは
ビートもコヨーテの二の舞になると危惧したカイルは
ミクシー嬢にバイクを借りてピーターの招待を
暴くための情報を捜しにいく事を決めた。
そしてピーターはビートに自分もサン・ジャシントの
出身である事を話していた。
あの村の人間は俺以外全員死んだはずというビートに
ピーターは…。
「私は亡霊かもしれません。
あなたにこの亡霊を倒せますかね?」
…という言葉と規約により3日後に決まったビートとの
決闘を楽しみにしている趣旨を告げ去る。
サン・ジャシントは小さいながら平和な町だったが、
ビートが村から離れていたときに、住む人々が
全員自殺していたという原因不明の事件に
見舞われ、地図からも消えた…。
その謎の悲劇をビートから聞いたカイルは
話したくない話をさせた事を詫びつつも、
それを無駄にしない為に更なる情報を求め、
マウントタルカスを出発する。
ACTION 24 魔術師の正体
サンドタルカスの国立図書館でピーターの
正体を探るカイル。
サン・ジャシントが滅びた理由は判らなかったが、
抱いていた仮説を証明する文献はあった…のだが、
カイルには追手がいた。
そのカイルのピンチを救ったのは…。
敵だったコニーだった。
クリムゾンに狙われる身なのは同じになってしまった
コニーは自分も知らないピーターの正体を
カイルが掴んだと踏み、その情報を得るため助けたのだ。
だが、コニーはピーターに受けた傷が癒えておらず、
その場で膝をつく。
放ってはおけず、カイルはコニーを病院に連れていく事に。
その一方、ニコラも孫娘としてクリムゾンの家にいた時の
ピーターの事だと思われる情報があった事を思いだし、
ビートに伝えていた。
カイルの仮説、ニコラの情報。その結論は…。
香料を調合してあらゆる香りを作る調香師には
生物の神経や感覚を麻痺させる危険な香りさえ
精製する者…黒調香師(ブラックパフューマー)もいた。
その黒調香師がピーターの正体…。
病院を出てマウントタルカスに戻ろうとする
カイルだがコニーは安静にしてなければならない身にも
関らず、連れていけと言って譲らない。
ピーターが送りこまれた理由を考えると
いやな予感がすると言う。
「お前たちの暗殺だけが目的じゃないとしたら…。
急がねば…とんでもないことになるぞ。」
ACTION 25 強さを求めて
決闘前夜、ビートはピーターと対峙していた。
ニコラからの情報により、ピーターが
サン・ジャシントの調香師、ハンミル家の
人間であると気付いたビートは、
その黒調香術でお前が町を潰したのかと
怒りの表情を浮かべ問う。
それに対しピーターはハンミルから
エンフィールドに改名した理由と、
その為に故郷を生贄に悪魔に魂を
売ったという事を語る。
更なる怒りと共に汚い手段でしか
勝てない奴に決闘の場を荒らされたくない、
ここで決着をつけてやるというビート。
ピーターはならばその前に樽の中から出てくる鼠を、
どちらが先に撃つかで勝負しようと言ってくる。
その勝負は…ピーターの勝利…。
そもそもピーターはオートマティックの銃でありながら、
ビートを上回る程の早撃ちの実力も持っていたのだ。
その実力がありながらあんな小細工をと驚くビート。
ピーターは言う。怒りで冷静さを欠いた状態で
勝てる要素は無い…。今は勝負しない方が賢明…。
そして小細工と言われた以上、明日の決闘では
調香術は使わない事を約束して去る。
…ピーターが黒調香師となったのはクリムゾンの元で
その力を戦争に対する抑止力して使う為だった。
だがその力を恐れたらしい何者かがピーターが
サン・ジャシントに帰っていると思い、自殺を促す
死の香りを流した…。その香りはピーター自身が
生成したもの…。
彼の心はひたすら闇の中をさまよっていた…。
そしてカイルはコニーを連れ戻っていた。
コニーの言うとおり、ピーターの目的は他にある、
だが、サン・ジャシントのようなことが行なわれるとしても、
町中に黒調香術をかける仕掛けが分からないというカイル。
ミクシー嬢はビートが勝てば大丈夫と言うが、コニーは
ピーターには勝てないだろうという事を話す。
そのビートは決闘場の控え室に入ったままだった。
らしくもなく悩んでいたが、その心から生じたコヨーテと
師であるジョエル・バーンズの言葉に、結局銃士は
ひたすら頂点、強さを求めて戦うしかないという事に気付く。
様子を見に来たホープの姿にも奮起し、ビートは
ピーターとの決闘に向かう。
「今まで戦ってきた連中の為に…。
それは…俺の憎しみなんかより百倍重てぇ。
そして…G・O・D(ガンズ・オブドミネイション)の
舞台でお前と戦うまで…。俺は…負けない!!」
ACTION 26 約束の刻
ビートとピーターの因縁の決闘。
ピーターは仇を前にして自らの姿を取り戻した
さすがは神が送ってきた刺客と、ビートを認める。
「手強い相手です。ならば私も…。全ての過去を
断ち切る為……。全力を持って葬ります。」
観客席を黙らせる程の気迫を放つピーター。
だが、ビートは揺るがない。
「今まで戦った奴らの業を背負いながら生き長らえた
俺の命…。お前に取れるかよ!!」
ホープやコニーが驚く程のスピードを見せるピーター。だが…。
「ふん、その魔術のネタは割れてるだろ?
只の力比べなら銃士の領域………。
それじゃあ…昨日の約束通りだぜ!!」
…ビートはそのピーターを凌ぎ、勝利した…。
倒れたピーターの穏やかな顔を見てビートは思いだす。
サン・ジャシントで少年の頃のビートとピーターは会っていた。
彼は銃の練習をするビートに町の平和は誰にも脅かさせないと
約束していたのだ。だが結果は…。
今回は約束を守った…そう言い、ピーターは息を引きとる…。
ビートの見事な勝利に、勝てないと思っていたコニーも
ほっと胸を撫で下ろす…ところだったが、
ピーターと共にいた初老の男を見つけると顔色が変わる。
男の正体は゛風読み"のマロッタ。気候、風の流れを予測し、
都市一つ燃やしつくした事もある残忍な男だという。
サン・ジャシントの悲劇も、マロッタが
ピーターの迷いを断つため仕組んだ事だった。
まだ脅威は去っていない…。
ACTION 27 戦いの行方
マロッタは既にマウントタルカスを滅ぼす為の仕掛けを
済ませていた。
それを作動させようとするマロッタをコニーが追う。
マロッタはピーターから盗んだ黒調香術で
コニーを仕留める…かに見えたが、
それを舌をかむ痛みで打ち消すという
荒技を再び用いたコニーのショットガンが
逆にマロッタを仕留める。
しかし、マロッタは最後のあがきで仲間に合図を送った。
それにより仕掛けが作動するまで…5分…。
一方、ホープ、カイル、ミクシー嬢の3人が仕掛けを
見つける為に動いていた。
仕掛けがある風車を発見するがまだ遠い…。
カイルはホープに仕掛けられた毒が詰まった箱を
吊り下げているヒモを狙撃できるかと指示するが、
無茶をして急いでいた為、乗っていたミクシー嬢の車は
転倒してしまう。
しかしホープは車から飛び出し、父の言葉を思い出しながら狙撃。
「ホープ……平和をつくれ!!」
見事狙撃は成功し、マウントタルカスの滅亡の危機は
今度こそ去った。
フィリップ・クリムゾンはピーターとマロッタが
任務失敗したという報告受けるが…。
驚きもせず語る。
「よいではないか。いずれにせよ我々にとって都合のいい方向に
進んでいる。武器商人の我々にとっては……。世の中が混沌に
なればなるほど…巨大化していくではないか……。」
事実、マウントタルカスは滅亡計画を企てた隣国、
サンドタルカスへ出兵していた。
コニーとは別れ、出発しようとしていたホープたちも
その出兵する軍隊を見て、世界の行く末を案じていた…。
…以上、4巻です。
最初にも書いたように、ホープよりもビートが活躍してますが、
このビートが目立つ傾向は7巻のクライマックスまで続きます。
これは主人公蔑ろではなく、その7巻クライマックスに向けて、
確実に話の線を引いていっているという事。
それを知った上で振り返って書くと、ビートの台詞とか
胸に来るものがあるぜ…。
字だけでやっているので何ですが、決闘描写も凄くなって来てます。
ビートとピーターの決闘なんかでは両者の圧力が
鎧騎士と死神として描かれるという遊戯王もビックリの状態に。
フィリップ・クリムゾンも戦闘力は無い商人なのに、
描かれるその姿からは敵側の支配者である事を、
ヒシヒシと感じさせてくれますよ。
とにかく、これで第1章、半分は越えました。1章完の7巻まであと3巻、
書いていきます。
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